PARADOX=パラドックス=
一瞬にして喉が乾ききり、オレは第一声が出なかった。
どうにか振り絞り口を開こうとした時。
「やめなさいセバスチャン。
女の子が震えているじゃないか」
女の一言でセバスチャンから出ていた威圧感が消える。
「恩人の足を止めてしまい、うちの執事が失礼をした。
代わりに謝ろう。
よい旅を」
女は深く頭を下げ歩きだす。
オレはネオンの震える手を握る。
「ネオン、もう大丈夫だ」
「……うん」
振り返るともう二人の姿は鬱蒼と生い茂る木々の中に消えていた。
「オレ達も行くぞ」
「うん」