好き
追い返されてしまった。

里奈とケンカをしたのは久しぶりだ。
最近は、言いたいことをぶつけ合っても、「お互い様」って話は済んだ。
ちゃんとぶつかり合えるから、ずっと仲良しでいられたのに・・・。
仲良しだからこそできたことなのに。

今は、話さえできないのだから。

涙がぼろぼろこぼれ落ちる。
前がよく見えない。
きれいな夕日も揺れていた。

「夕日がぼやけてる・・・。」

そうつぶやいた時、ぎゅっと抱きしめられた。
後ろから・・・。
突然・・・。

振り向いたら真咲がいた。

「さっきのメールマジ嬉しかった!」
「え・・・・・?」
「うわ!?泣きよるん?」
「まさ・・・き?」
「どしたん!?」
「里奈とケンカ・・・した」
「いつも一緒にいた、佐藤?」
「うん。きらわれたよ。」
「なんで?」
「真咲と付き・・・」
「え?」
「なんでもない。帰るね・・・。」

今は、誰にも何も言いたくなかった。
真咲にだって、心配かけたくないし。

私はそのままベットにたおれこんだ。

「麻衣ーー、パーティーしよー!」
「いい。寝る。」
「麻衣?どうしたのーー?」
「別に・・・・・。」
「ご飯頑張って作ったのよ? 誕生日ケーキは? 食べないの?」

食欲なんてあるはずがない。

私はすぐに寝た。
ベットで泣きながらいろいろ考えた。

今日はいろんなことがありすぎたんだ。
せっかくの誕生日だったのに。

神様は嬉しいプレゼントをくれた。
真咲からの告白・・・。

神様は悲しいプレゼントもくれた。
里奈とのケンカ・・・。

最高の誕生日が最低な誕生日になってしまった。

お母さんが作ってくれた私の大好物も、毎年恒例の手作りケーキも食べてない。
里奈から誕生日プレゼントももらってない。
こんなの誕生日じゃない。
16歳になれないよ・・・・・。




夢を見た。
現実とは真逆の夢だった。

真咲の告白を断って私は泣いていた。
そんな時、1番に励ましてくれたのは里奈だ。

「やっぱり里奈は私の1番。」

なんて事を言っていた。

どっちが良かったのかなんて分からない。
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