大吉男と大凶女
そんな二人をよそに俺は校舎へ向かって歩いていく。

「付いてくか?」

俺の後ろ姿を見て、晴紀が言った。さすがは良き理解者。俺の身に何が起こったのか大体予想がつくらしい。普段はアホだがこういうところはしっかりしている。

「いや、いいよ。どうせあっちに先生居るでしょ」
「そうか、じゃ俺は戻るわ」

と、お互い背を向けて別方向へ歩き出した。ちなみに恭子は未奈美に説教されている。もちろん内容はいつも通り。

真田未奈美(さなだみなみ)と佳彩恭子(かさいきょうこ)。同じ保育園、同じ小学校、同じ中学校、同じ高校。いわゆる幼なじみ同士である。

未奈美と俺と晴紀とは同じクラスだったが、これと言って話をするわけでもなかった。お互い名前だけは知ってはいる、その程度だ。

だが今年、晴紀と吉隠神社へ初詣を行った際、偶然会ったのが未奈美と恭子だった。それ以来、少なくとも以前よりは絡むようになった。

あれからもう大体三ヶ月経つのだが……俺も晴紀も、どちらも目立たない人物だと思っていたのだが、どうやらそうでは無いことを後から知ることになった。
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