大吉男と大凶女
未奈美はまだ恭子を注意しているのだろうか。痛む右手を見ながら考えた。
注意というか、お約束である。未奈美は恭子の事を十分知っている。トラブルメーカーであり努力家であり、そして運が悪いことも。
だからこそ彼女は恭子を気遣う。頑張る姿をずっと見ているからであろう。もしくは、同情……かもしれない。
「……何考えてんだ、俺」
柄にも無く他人のことで考え込んでしまった。俺は誰も居ない保健室で一人呟いた。
「う、うーん……」
不意に後ろから声が聞こえた。よくみるとカーテンが閉まっている。誰か居るらしい。だったら長居は出来ないな。
俺は渋々椅子から立ち上がり、保健室をあさる。シップだけでも貰おうと思ったのだが見当たらない。
「なぁにをやってんのかなぁ?あんたは」
「わっ!!――ッ!!」
「しーっ!!」
いきなり隣に現れた保健室の先生、高橋千里(たかはしちさと)に口を塞がれた。
「病人が居るの、静かにしなさい」
と言うと千里先生は口から手を離してくれた。
「脅かした先生が悪い」
「勝手に入って、保健室をあさってるお前が悪いんだ」
注意というか、お約束である。未奈美は恭子の事を十分知っている。トラブルメーカーであり努力家であり、そして運が悪いことも。
だからこそ彼女は恭子を気遣う。頑張る姿をずっと見ているからであろう。もしくは、同情……かもしれない。
「……何考えてんだ、俺」
柄にも無く他人のことで考え込んでしまった。俺は誰も居ない保健室で一人呟いた。
「う、うーん……」
不意に後ろから声が聞こえた。よくみるとカーテンが閉まっている。誰か居るらしい。だったら長居は出来ないな。
俺は渋々椅子から立ち上がり、保健室をあさる。シップだけでも貰おうと思ったのだが見当たらない。
「なぁにをやってんのかなぁ?あんたは」
「わっ!!――ッ!!」
「しーっ!!」
いきなり隣に現れた保健室の先生、高橋千里(たかはしちさと)に口を塞がれた。
「病人が居るの、静かにしなさい」
と言うと千里先生は口から手を離してくれた。
「脅かした先生が悪い」
「勝手に入って、保健室をあさってるお前が悪いんだ」