大吉男と大凶女
そんな他人から比べれば幸運の多い人生も今年で十八年目にさしかかる。

他にも何かあるか、と聞かれれば、無いことはないのだが、語りきれない。それこそ何日もかかってしまうかもしれないし、何より俺が意識していなくても、自慢にしか聞こえないに違いない。そうなった時の風当たりと言ったら……それはもう大変、というよりうざったるかった。

そんななか、今年彼女と出会ったのは今年に入ってすぐだった。俺が十八回目のおみくじを引く前、友人と初詣に行った時だった。

近所にある小さな神社なのだが、割と周辺に住む人間以外の人もたくさんやってくる、ささやかな人気を誇る神社なのだ。

神社までに出来た列。その中間にある階段。その際に丁度俺たちの後ろに居た女性が転んできた。俺は隣に居る友人の方を向きながら会話をしていたので、幸いにもその女性が転ぶのに巻き込まれ――どころか、咄嗟に助けてしまった。

無意識のうちの行動だったが、おかげで転ばずに済んだ、ということで物凄く感謝された。

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