大吉男と大凶女
「多分明日あたり今日よりちょっとだけ腫れると思うけど……まぁ二、三日で良くなると思うわ」
「わかりました」
「まぁそれまで自分を慰める行為はお預――」
「下ネタは止めてください」

思わず間髪入れずにツッコンでしまった。千里先生は保健室の先生らしく、アクシデントの際にはしっかりと対応してくれる。の、だが、どうにも会話に下ネタが多いのが玉にきずなのである。

しかも際どいものばかりだ。

何も言わずにしっかり仕事だけしていれば、ただの美人な保健室の先生で終わるものを……。まぁそのユニークさが功を奏してか、生徒からは人気がある。

「あ、そうそう」

湿布の上に軽く包帯を巻きながら、視線をカーテンへとやりながら言った。

「吉野は確か歩美と知り合いだよな?」

予想外の質問にオレはきょとんとしてしまう。頭の中で色々と整理をする。

「歩美ってのは佐々城歩美さん?」
「そうそう、その歩美さん」

千里先生は長い包帯を途中でハサミで切ると、余った分を整えて、湿布と一緒に片付けた。
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