大吉男と大凶女

‐2‐

俺は一人教室で自分の荷物をまとめていた。とりあえず明日の休日に向けて少しばかり勉強道具をバッグに入れる。

教室でまとめていると、廊下を誰かが通り過ぎたのが見えた。と、思いきや戻ってきた。

「あれ?吉野くん」

頭に電球のマークが着いたように俺を見つけてきたのは恭子だった。恭子に続いて未奈美もやってきた。

「あれ?吉野くんまだ居たの?」
「あぁ、ちょっと保健室に行ってたら遅くなった」

恭子と未奈美は目を見開き同時に声をあげた。

「怪我してたの!?」
「あの時何かしたの!?」
「生憎俺は漫画とかに出てくるキャラクターみたく強い訳じゃないからな」

と、言って袖で隠れていた包帯を見せた。未奈美と恭子はその包帯をまじまじと見る。

「だ、大丈夫?」
「何だ、大したことなさそうじゃない」

相対的な言葉が同時に放たれた。恭子は申し訳なさそうな表情を浮かべているのに対し、未奈美はふぅ、とため息をついた。なんかムカつく。

「男なんだから女のためにできた怪我の一つや二つくらいどうってことないわよ」
「そんな偏見知るか」
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