大吉男と大凶女
未奈美は俺の返答にぶっすーとした顔をし、ふてくされた。すると恭子は俺の手をとり、やたら「大丈夫?」「本当に大丈夫?」と心配し始めた。

「別に大丈夫だよ。ただの捻挫だよ、ねんざ」

別に俺としてはそんなに深い意味合いは無かったのだが、俺の意とは反する受け取りかたをしてしまった。

「ごめんね、私のせいで…」

と、恭子はうつ向いて落ち込んでしまった。あれ?そんなつもりで言った訳じゃないんだけどな。

「お前こそ怪我は無いのか?」

話の内容を少しばかり反らした。これ以上うつ向かれても正直ちょっと困る。

「え、あ、うん。吉野くんのおかげで」

恭子は少し微笑んだ。恭子に限らず、助けた人の笑顔を見るのは悪い気分にはならない。

「なら良かった。でないと俺が怪我した意味が無くなるからな」
「うん、ありがとう」

ふむ。俺なりに大丈夫の表現だったんだが上手く伝わらなかったのか、またうつ向いてしまった。これではきりがない。

「あー……そううつ向くなよ。別にお前が悪い訳じゃ無いんだから」
「うん、ごめん」
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