大吉男と大凶女
何故そんなに感謝されたのか。それはこの階段に理由があった。
この神社、名前を吉隠神社(よなばりじんじゃ)というのだが、文字通り「吉が隠れている神社」である。
とはいっても正確には「隠れている吉を引き出す神社」という意味合いらしい。
その神社の階段。石でできていて、ぼろぼろと欠けており、時間の流れを感じさせるこの階段なのだが、これといって特に通称がある訳でも無い。それなのにこの階段には妙なレッテルがはられており、その内容というのが、「この階段に手をつくと、幸運が吸い取られる」というものであった。加えてこの階段はこの時期になると、凍ってツルツルに滑るのである。
よって初詣客達は全員が全員、その階段に手をつく、つまり転ばないように必死になるのだった。
そんな吉隠神社の階段で転ばなくて済んだ、ということで、物凄く感謝されているのである。すると隣に居る友人が
「今年一番の幸運が女の子の胸を触ることだなんて……つくづくツイてるな、お前は」
「触ってた?俺が」
「十分。腕辺りにな」
と心の底から羨ましそうに言った。
この神社、名前を吉隠神社(よなばりじんじゃ)というのだが、文字通り「吉が隠れている神社」である。
とはいっても正確には「隠れている吉を引き出す神社」という意味合いらしい。
その神社の階段。石でできていて、ぼろぼろと欠けており、時間の流れを感じさせるこの階段なのだが、これといって特に通称がある訳でも無い。それなのにこの階段には妙なレッテルがはられており、その内容というのが、「この階段に手をつくと、幸運が吸い取られる」というものであった。加えてこの階段はこの時期になると、凍ってツルツルに滑るのである。
よって初詣客達は全員が全員、その階段に手をつく、つまり転ばないように必死になるのだった。
そんな吉隠神社の階段で転ばなくて済んだ、ということで、物凄く感謝されているのである。すると隣に居る友人が
「今年一番の幸運が女の子の胸を触ることだなんて……つくづくツイてるな、お前は」
「触ってた?俺が」
「十分。腕辺りにな」
と心の底から羨ましそうに言った。