大吉男と大凶女
「それなのに付き合ってないのね、あんた達」

千里先生は意地悪く鼻で笑いながら言った。俺は熱いお茶を冷ましながら一口すすった。

「中学の時に気付きましたよ。俺はこの人の恋人ではなく世話役なんだな、って」
「何かっこいいこと言ってんのよ、気持ち悪い」
「さらりとそういうこと言わないでくださいっ」

いや、まぁそりゃツッコミ入れますよ。珍しく真面目に答えたのに……。

「それに歩美さんモテるじゃないすか。彼氏が居ない期間をほとんど見たことが無いですよ」
「ふーん」

千里先生は足を組みながら残りのお茶を飲み干した。熱くないのか?

「エロゲーだったらフラグ立ちまくりじゃないの、幼なじみなんて」
「エロゲーと一緒にしないでください」

俺はため息をついた。冷めてきたというより無理矢理冷ましたお茶を一気に飲み干した。

「っていうか教師がエロゲーとか会話に出すの止めてください」
「まったく、この程度で音をあげるの?だめねぇ。それでも健全な男子高校生なの?」

不思議と何も言い返せなかった。というかどう返せばいいか、もはやわからなかった。
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