大吉男と大凶女
歩美さんはコートの上から、さらに俺の制服を羽織る。俺は一気に寒くなり、鼻水をすすった。
俺と歩美さんは定期券で駅の改札を通り抜け、階段を上り下りし、電車のやってくるホームへ向かった。
「寒いわね」
俺の制服を羽織りながらも寒いというのは明らかに風邪だからである。あんまり外に長居させるのも悪化させかねないから、とりあえず設置されている待合室に入ることにした。
歩美さんと俺は並んで簡素なベンチに座った。
「何か飲む?」
「そんなお金あるの?」
「すげー失礼」
俺は立ち上がって待合室に設置されている自販機の前に行く。尻ポケットから財布を出して、中を確認する。
五百円玉しか入っていなかった。
そうだった。たくさん持つと使ってしまいそうだからって置いてきたんだった。
タイミングが悪い。俺は渋々五百円を自販機に入れて、ペットボトルのスポーツ飲料を二つ買った。
お釣りは二百円と表示され、チャリンチャリンと音を立てて出てきた。
歩美さんに聞こえないよう、小さくため息をついた。五百円の内三百円というのはでかい。
俺と歩美さんは定期券で駅の改札を通り抜け、階段を上り下りし、電車のやってくるホームへ向かった。
「寒いわね」
俺の制服を羽織りながらも寒いというのは明らかに風邪だからである。あんまり外に長居させるのも悪化させかねないから、とりあえず設置されている待合室に入ることにした。
歩美さんと俺は並んで簡素なベンチに座った。
「何か飲む?」
「そんなお金あるの?」
「すげー失礼」
俺は立ち上がって待合室に設置されている自販機の前に行く。尻ポケットから財布を出して、中を確認する。
五百円玉しか入っていなかった。
そうだった。たくさん持つと使ってしまいそうだからって置いてきたんだった。
タイミングが悪い。俺は渋々五百円を自販機に入れて、ペットボトルのスポーツ飲料を二つ買った。
お釣りは二百円と表示され、チャリンチャリンと音を立てて出てきた。
歩美さんに聞こえないよう、小さくため息をついた。五百円の内三百円というのはでかい。