大吉男と大凶女
だが、今思えば俺の今年一番のラッキーはそれよりもちょっと、ほんのちょっと前にもう起きていたのかもしれない。

その時の俺はもちろんそんな事に気づいてもいない。

無論、俺の後ろにいた、吉隠神社の階段で転んだ女性。名前は佳彩恭子。

通称――大凶女と呼ばれていたこの女性が気付くよしもなかったのは言うまでもない。
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