大吉男と大凶女
「さすが卒業式終わっただけあるわね。何通かはメルマガとかだけどほとんどは学年の友達よ。知らない人からも来てるわ」

それって大丈夫なのか?何はともあれ少しでも元気を出してくれて安心した。

母親の話になると元気を無くすからな、今日は。まぁその気持ちはわかるけど。

そうだ。歩美さんのメールで思い出した。メール来てるんだった。

俺はおもむろに携帯を取り出して、来ていたメールを確認した。さっきまで二件だったのが三件になっていた。

恭子から返事が来ていた。あの帰りのやりとりの後、廊下で転んだらしい。思わず顔がにやけた。簡単に想像できるあたりがおもしろい。とりあえずジョーク混じりで返事を返しておいた。

もう一つは……太一か。また内容は歩美さんについて。どうでもいいから返事は返さないでおこう。

そこで晴紀に返事を返してないことを思い出して、ついでに晴紀にも返事を返した。もちろんオーケー、と。

で、最後の一通は……迷惑メール、と。最近多いな。アドレス変えようかな、そろそろ。

「次は〜前中〜前中ぁ〜」

アナウンスが流れた。俺たちはそこで降りなければならない。
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