大吉男と大凶女
とりあえず歩みを止めて、後から追ってくる歩美さんを待った。
「歩美さん、自分が病人だってこと忘れてないだろうな」
「当たり前でしょ、この体の寒気と熱りに倦怠感。忘れるはずがないじゃない」
と、俺の注意に対して強気な返事を返した歩美さんの目には涙が浮かんでいた。
「なんかした?」
「なんでもないわ」
そう言って涙をふき、携帯をコートのポケットにしまった。
階段を登ろうと思ったが、病人が居るのでエレベーターへと向かう。もちろん下りもエレベーター。
改札を通り、駅から出た。周囲はたくさんの学生であふれている。
俺と歩美さんはゆっくりと歩美さんの家に向かって歩き始めた。
「そういえば矢野先輩には連絡したの?」
俺はふと思ったことを聞いた。矢野先輩というのは歩美さんの彼氏である。確か高校は別な高校なのだが……どこかは覚えていない。
「あぁ……あの人ならとっくに別れたわよ」
「え?」
思わぬ返答に返す言葉がこれしか出なかった。
「当たり前じゃない、あんなやつ。三股かけられてたのよ。冗談じゃないわ。あんな男死んでしまえばいいのよ。もうこの話はしないで」
「歩美さん、自分が病人だってこと忘れてないだろうな」
「当たり前でしょ、この体の寒気と熱りに倦怠感。忘れるはずがないじゃない」
と、俺の注意に対して強気な返事を返した歩美さんの目には涙が浮かんでいた。
「なんかした?」
「なんでもないわ」
そう言って涙をふき、携帯をコートのポケットにしまった。
階段を登ろうと思ったが、病人が居るのでエレベーターへと向かう。もちろん下りもエレベーター。
改札を通り、駅から出た。周囲はたくさんの学生であふれている。
俺と歩美さんはゆっくりと歩美さんの家に向かって歩き始めた。
「そういえば矢野先輩には連絡したの?」
俺はふと思ったことを聞いた。矢野先輩というのは歩美さんの彼氏である。確か高校は別な高校なのだが……どこかは覚えていない。
「あぁ……あの人ならとっくに別れたわよ」
「え?」
思わぬ返答に返す言葉がこれしか出なかった。
「当たり前じゃない、あんなやつ。三股かけられてたのよ。冗談じゃないわ。あんな男死んでしまえばいいのよ。もうこの話はしないで」