大吉男と大凶女
「悪いな、寝てたのに」
「いえいえ」

と言って大きな欠伸をして、ンーッと唸りながら体を伸ばした。

「それにあゆ姉の事だしね。放っておけないし」

結綺は起き上がって、立ち上がり、机に向かい始めた。

「私が見てるから結兄はいいよ、部屋に戻っても。まぁそこであゆ姉の寝顔を眺めててもいいけど――」
「いや、やめとく。今日は疲れたからな。ちょっと一眠りしてくる。一時間くらいしたら起こしてくれ」
「私が寝てなかったらね」

結綺の部屋を後にした。俺は自分の部屋に戻って、急いで着替えたせいで散らかっていた制服などをハンガーにかけた。

「げ……」

セーターの右肩にネチャリと粘着質な液体がついていた。歩美さんの鼻水か……。

俺はセーターを指先でつまみながら階段を降り、一階にある洗濯かごに入れておいた。

俺はそのまま茶の間に行き、ソファに身を預けた。茶の間は母さんと親父が居た時のストーブの余熱が感じられた。

俺はしぶしぶ立ち上がりストーブのスイッチを入れ、またソファに体を預けた。そしてそのままゆっくりと眠りについた。
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