大吉男と大凶女
ピンポーンというチャイムで目が覚めた。時刻は五時半。二十分位しか寝ていなかった。次第にチャイムが連続で聞こえるようになってきた。

「はいはい、今出ますよ、と」

ぼやきながら玄関を開けた。

「歩美は居ますか!?」

と開けた途端に、玄関に居たスーツ姿の女性は声をあげた。

「あ、歩美さんのお母さん」
「あら、結ちゃん、ごめんなさい、突然。歩美居るかしら？なんか歩美から結ちゃんの家に居るってメールが来てたんだけど……」
「あぁ、はい、確かに居ますけど――」

歩美さんはいったいいつメールしたんだ？確か寝てたはずなんだが

「はーい……ってあれ？結兄起きてたの？」

トントンと足音を立てて二階から結綺が降りてきた。

「あぁ、さっき起きたところだ」
「ふぅーん、まぁいいや。お客さん来てなかっ……あ、歩美ママだ。こんにちは」

ワンテンポ遅れて歩美さんのお母さんの存在に気付いた。俺に隠れて見えなかったんだろう。

「あら、結綺ちゃん、こんにちは」

と言って歩美さんのお母さんは手を振って返した。

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表紙・目次

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