大吉男と大凶女
てな形で、俺が会話に参加することなく、会話は終了してしまった。

ある程度まで歩美さんのお母さんを見送ったあとに、ゆっくりと玄関を閉めた。

「歩美ママ行った?」

玄関を閉めきったのを見計らって、結綺が俺に聞いてきた。

「あぁ、帰ってったよ」

そう答えて居間に戻った。その後ろに結綺もついてくる。

結綺はそのまま台所に行き、冷蔵庫をあさっていた。俺はそれを見て、ソファに座るのを中断して、台所に向かった。

「あ、結兄。ちょっとネギ探しておいて」
「へいへい」

そう言い残すと、コップ片手に台所から姿を消した。

俺は野菜室をごそごそとあさり、長ネギを一本取り出した。

すると結綺がコップに米を入れて台所に戻ってきた。

小さな鍋にその米を入れて、水を大量に入れる。コンロの上に置いて火をつけた。

俺は結綺が何をするのかを悟り、長ネギを六分の一くらい残して切り、大きい方を野菜室にもどした。

「なぁ」
「うん?」
「どーせ歩美さんのことだから、帰りたくないとでも言ってんだろ?」
「ピンポーン。まぁ間接的に、だけどね」
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