大吉男と大凶女
「そうかいそうかい。そりゃあ朝からご苦労様だ」

と、太一が呼吸整えるまで待ってやることにする。その間にも周りの人達は一目散に自分の目的地へと向かっていく。

「よし、オーケーオーケー。待たせたな」

と、そんな待ってもいないのだが、かっこつけて言った。もちろんそれに対する俺のリアクションは無い。

駅から徒歩で約十分。そこに俺達の通う東高柳高校(ひがしたかやなぎこうこう)がある。名前の通り、俺達の住むここは、高柳市といい、駅を大体中心に三つの高校がある。

まずさっきも言った東高柳高校、その反対側西高柳高校、そして駅を北に行くと高柳高校がある。

もう少し空気を読んで北と南もあるんじゃないのか、と思うのだが……生憎、北と南は高校ではなく中学である。高柳高校よりさらに北に北高柳中学、そして駅より南に南高柳中学、ときれいに東西南北すべて学校名になっている、という親切(?)な町だ。

とは言っても、正確にきれいに東西南北分かれていると言っても極端に密集している訳ではない。

東は駅から近く、西は駅からは大分離れている。高柳に至っては離れているうえに私立なのである。
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