大吉男と大凶女
鍵が閉まったことを確認して、歩美さんの家の鍵を元の隠し場所、と言っても玄関に置いてある植木鉢の下なのだが……。

とりあえず元に戻した。

歩美さんの家に背を向けて、後にする。

家に帰ると、先程俺達が感嘆の声を上げた香ばしい香りが鼻をくすぐった。

「あれ?早かったね」

台所に向かうと、結綺が朝と同じように椅子に座り、今度はお粥を食べていた。

「料理するなら換気扇つけろよ」

換気扇の紐を引っ張る。

「ごめん、作るのに夢中で忘れてた」

換気扇をつける際に小鍋を見たら、先程見た余っていたお粥の半分は少なくとも減っていた。

「おい……」
「食べたもん勝ち――」
「じゃねぇよ」

今度は間を入れなかった。と、いうか与えなかった。

「お前、食べ過ぎじゃね?」
「大丈夫、私太らないから」
「その余裕は一体どこからくるんだ……」

まぁ確かに結綺は太らない体質っちゃ体質だが……そのせいかいささか小さい。

「残りは結兄のお昼ね」
「え、昼飯これ!?」
「そうっ」

と言って食器を片付け、逃げるように台所を出ていった。
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