華麗なる反抗期

「そ、それは……」

困る質問だった。

わたしだってよくわかんない。
ただわかるのは。

心の奥に羽夢がいたっていうこと。

でもそれをいうとさやかは勘違いして傷ついちゃうハズだから。

「……自分でもまだ整理ついてないんだ! すごくいきなりだったし、それに、先輩にはもっとわたしなんかよりステキな人がいるんじゃないかって……」

半分真実、半分嘘。

わたしなんかよりっていうのはホント。
先輩は、成績もいいし生徒会に入ってるし(屋上で話してるときに聞いた)、かっこいいし。
それに比べてわたしは……っていうのがあるから。

でも、ちゃんと整理はついてる。
恐ろしいほどに、心の中で理解してる。
先輩に、告白された。好きだといわれた。

嬉しいはずなのに、嬉しくない。

複雑な気持ち。

「でもそのうち返事するんでしょ? するときはいってよね! あと相談とかはいつでも乗るから!」

隣で笑っていうさやか。

「……ありがと、さやか」

ごめんね。
こんなに優しいさやかに、嘘なんかついて。



< 108 / 135 >

この作品をシェア

pagetop