華麗なる反抗期
と、後ろで玄関が開く音が聞こえた。
「うさ? 何やってんだ?」
「……なんでもない」
羽夢が帰ってきた。
たったそれだけのことなのに、先輩といるときの何倍も嬉しかった。
でも、それを表に見せちゃいけない。
そう思ったから。
「……わたし、綾三月先輩に告白されたの」
そういった。後ろを向いたまま。
一瞬間があった後、わたしは続けた。
「返事はまだ、してないけど……文化祭は一緒に回るの」
「……デートじゃん、それ」
羽夢が口を開いた。
「……そうだよ。だから」
「俺以外のとこになんか行くんじゃねぇよ」
わたしの言葉をさえぎって、羽夢はそういった。
そして、背中に伝わる、羽夢のぬくもり。
抱きしめられている。