華麗なる反抗期

わたしは最初、その男が嫌いだった。

「うさ……怖いよ。そんなににらまれたら」

いつもニコニコと話しかけてくる、男。
お母さんとも、楽しそうに笑いながら話してる。

けど……。

「でも、お前もお母さんを裏切るんでしょ! そんなお父さんいらない!」

「うさ!」

わたしは知ってた。

離婚してから、お母さんはいつもわたしが寝た後、ひとりで泣いてたこと。
わたしは、何もいえなかった。

もうお母さんに悲しい思いをさせたくなかった。

わたしは男のもとから走って逃げた。

「いたっ」
「うわ」

途中、誰かにぶつかった。

知らない、わたしと同じくらいの男の子。
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