華麗なる反抗期

「羽夢くんって何部ー?」
「あぁ。いろいろ掛け持ちしてるんです。サッカーとか、野球とか。たまに演劇部とかにも助っ人で行ったりしますよ」
「へー! かっこいいねー!」

わたしはふたりの邪魔をしないように後ろについて歩く。
暇なので前のふたりの会話を聞いていた。

「じゃあ、じゃあ、テニス部とか行ったりする?」
「あ、はい。よく」
「きゃー奇遇! わたしテニス部なんだ!」

だんだんふたりの話が盛り上がっていく。

「……」

なんだろう、この違和感。

ふたりが仲良くしてるのに、妙な気持ちを感じてる。

さやかが羽夢と仲良くして、そのままさやかの恋が叶えば、わたしは嬉しいはずなのに。

胸が、苦しい。
ズキズキする。

わたしの隣をただ風が過ぎていく。

夏なのに、寒いよ。

……寂しいよ。







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