苦しみの(涙)
「滝壺の……うっ…くっ……!!中にあ…る……?」
一言一句言うたびに痛みの波に自分をもっていかれそうになる。
だけど、その合間に見えるのは滝壺と雅やかな宮だった。
「龍樹、やはりお前は俺の自慢の妹だな。
お前も早くその痛みから解放されたいだろう?たった一言言えばいい。
【帰りたい】
とそうすればいいんだ。」
帰る?あの宮へ?龍轍といっしょに?
帰ると言ったら私は兄者を裏切ってしまう、一人にしてしまう。
一人はどれだけ寂しいか知ってるから、兄者を一人になんかできない。