苦しみの(涙)



「俺の?
いつからお前のものになった。龍樹はずっと、産まれたときから俺のになると決まっている。」



その言葉が不快だったのか、あいつは眉を潜めている。





「血の繋がりがない者を兄と呼び、本当の兄のことを忘れていた妹……。
哀れな話しだと思わないか?」



今度はこちらが笑みを浮かべ、やつはじっとこちらを睨んでいる。



「血の繋がりがないからこそ、俺は菜舞露を愛せる。
だが…、お前には血の繋がりがあるのだろう?」




「はっはははははは……――。」



こんなくだらない愚問を聞いたのはいつぶりだ?



「クックックックッはははははは」



笑いがおさまらない。




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