B.B
「なあ由良、あれ、やろうよ」
「いいよ」
若葉が言う「あれ」とは、自転車の二人乗りのことだ。二人でぼくの自転車に乗って下校するのが、ぼくらは好きだった。ほとんど毎日やるので、「あれ」と言うだけで通じてしまう。
ぼくが前に乗り、若葉が後ろの荷台に乗る。
「いくよ。ちゃんと、つかまってるんだぞ」
ぼくは若葉にそう言うと、思い切り地面を蹴った。
自転車は、いい。力いっぱいペダルをこいで、空を見上げる。それだけでも快感なのに、その快感を共有できる人がいるでなんて、なんて贅沢だろう。改めて、ぼくはそう思った。
……あぁ、若葉。
早坂若葉。お前だけだよ。
心のなかでそんなことを考えていると、なんだか恥ずかしくなった。たかが、二人乗りくらいで、おおげさじゃないか。
後ろの若葉は今、どんなことを考えているのだろう。
「いいよ」
若葉が言う「あれ」とは、自転車の二人乗りのことだ。二人でぼくの自転車に乗って下校するのが、ぼくらは好きだった。ほとんど毎日やるので、「あれ」と言うだけで通じてしまう。
ぼくが前に乗り、若葉が後ろの荷台に乗る。
「いくよ。ちゃんと、つかまってるんだぞ」
ぼくは若葉にそう言うと、思い切り地面を蹴った。
自転車は、いい。力いっぱいペダルをこいで、空を見上げる。それだけでも快感なのに、その快感を共有できる人がいるでなんて、なんて贅沢だろう。改めて、ぼくはそう思った。
……あぁ、若葉。
早坂若葉。お前だけだよ。
心のなかでそんなことを考えていると、なんだか恥ずかしくなった。たかが、二人乗りくらいで、おおげさじゃないか。
後ろの若葉は今、どんなことを考えているのだろう。