B.B
女の子は、辺りが暗くてもよくわかるほど、真っ黒なセーラー服を着ていた。年は、ぼくと同じくらいだろうか。背は女の子にしては高い方だった。





ぼくはおずおずと手を差し伸べ、女の子の腕をつかんだ。それは、乱暴に扱えば折れてしまうのではないかと思うほどに細かった。





脈を測る。……生きているようだ。





どうしよう。警察を呼ぶべきだろうか。そもそも、この子はどこから来たのだろうか?





ぼくが迷っていると、ううぅ……といううめき声が聞こえてきた。目の前の女の子の声だった。





「……気がついた? 大丈夫? 君は……」





「……は、る……」





「え?」





「は、る、か……」





「はるか? それが、君の名前?」





「ちがう!」





女の子は、突然はっきりと喋った。ぼくはそれに驚く。





「……わたしと、遥を、一緒にするな!」





どうやら彼女は、その遥という人物を嫌っているようだった。




「ごめん。じゃあ君は?」
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