B.B
「偽名、ねぇ……なるほど」




神谷さんは腕を組んだ。





「偽名を使うときって、どんなときだと思う?」





「……そうですね。名前を偽るんだから、自分の正体を隠すとき、ですね」





「そうだね」




神谷さんはうなずく。





「つまり偽名っていうのは、なにかに追われていて、正体を隠す必要がある人間が使うものなんだ。たとえば、家出中の人とか、行方不明の人とか、あるいは……」





「あるいは?」





ぼくがそう促すと、神谷さんは静かに言った。










「……あるいは、犯罪者とか」






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