また会うためには。

出会うためには。

「……行ってきます。」


そうつぶやいてあたしは家を出た。今日もいい天気。


――あたしは、５年前事故にあった。まだ小学校三年生だったから、詳しくは覚えていないけど、今は元気だ。

その時助けてくれた人が、秋島頼子先輩。先輩とあたしは同じ中学校に通っている｡


「ことーっ!!」

後ろからガバッと抱きつかれた｡これはいつものことだけど。
「お、唯奈｡朝から元気だな。」
あたしは、唯奈の頭を撫でながら言った。
「うん！琴美に会えたからねっ。」
そう言ってふわふわの髪を揺らす唯奈｡すごく可愛い。化粧もバッチリしてある。


いつものように、唯奈と校門を通り抜けようとしたら、凄まじい怒鳴り声が聞こえた。
これも毎日恒例。まったく……毎日飽きないんだろうか。

「小倉ぁ!!何度言ったらわかるんだ!!髪を染め直せ!!」
「うるせー地毛なんだよ。」


あーもう教頭うるさい。お前ハゲてるから羨ましいだけだろ。

「そんなわけないだろ!!生まれつき髪が赤い人とかいるわけねーだろ!!」
「いるだろここに。」

いつものように口論が始まる。あたしは、まだなんたらかんたら怒鳴っている教頭を無視して、校舎へ向かった。

「琴美かっこいーッ」
唯奈が叫んだ。
「そんなわけないし。つかかっこいいとか嬉しくねえ……｡」


あたしだって女の子なんだぞ！かっこいいより可愛いって言われたいし。まあ無理だろうなあ。こんなんじゃ。言葉遣いが悪すぎる｡まあいいや。あたしには女の子っぽいとかまじ無理やしな。
そんなことを考えていると、いつの間にか教室に着いていた｡