薬指~未来への誓い~
私は、3日後に退院をした。


両親には心配かけてばかりで、謝らなくちゃいけない事ばかりで…


弱虫な私は、流産した経緯を話せなかった。


けどね、理由なんて聞かず、私の体を一番に心配してくれた姿を見れば見るほど

私の心はどんどん沈んでゆく深い沼の中に取り残されるんだよ…。





真吾と共に帰ってきた狭い部屋。



『…これ、返す』

私は真吾に“ある物”を渡した。

『――これ…』

真吾は一瞬にして顔を強ばらせる。

私が渡した“ある物”は…


永遠を誓った薬指の指輪。




もう、夢なんて見ない。


もう、光は探さない。


もう、永遠なんて信じない。




──…真吾??

私の事を“弱虫”だと笑ってください。


それでも、私は



もう、傷つきたくないんです―――


< 102 / 235 >

この作品をシェア

pagetop