薬指~未来への誓い~
ピンポーン……


ドアベルが鳴り、真吾が玄関を開けると、そこには花束を持った毅と由樹が立っていた。


『さっき、病院行ったら退院したって聞いたから…』


由樹は玄関先で話していた。

『上がってもらったら??』


私は無表情のまま、スリッパを並べる。

遠慮がちに部屋に入る毅と由樹は、私へかける言葉が見当たらない様子のまま座った。



こういう時って、泣いて怒ったりすればいいのかな??


けど、私は出来ないや。

そんな気力すらないよ。

それに、由樹や毅に何か言った所で再び小さな光が灯るわけじゃないでしょう??


誰かの命と引き換えに灯ると言うなら、とっくに私が捧げてる。



でも、そんな事すら出来ないじゃない。

夢なんて、所詮夢でしかないんだ。



『これ…』

由樹は私に花束を渡してきたけど、私は受け取らなかった。


『…あの日、謝りに来たの』

目も合わさず、何も話さない私に由樹は話し続けてきた。


『私が妊娠した子供は真吾の子供じゃないの…。私は倖知さんに、最低な嘘をつきました…』



由樹は
私に謝る為に来たのだと言った。

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