薬指~未来への誓い~
『あ、そう』


素っ気ない返事。
今となっては、なんとでも言える。
私は言葉を続けた。


『道連れにしに来たんじゃないの??自分が真吾の子供産めなかったから。私の流産は、あなたにとって本望でしょう?』


『そんな事ない!!』


酷く醜い事を無表情のまま、感情すら分からない棒読みで話している私とは正反対に、由樹は涙を流した。


由樹の涙を見ても、私の心にはなんの感情も生まれない。



私の心は、暗闇の中で迷子だ。


光の射す出口を探していた。
見つけたと思っていた。
なのに、走っても走っても出口は離れて行って私の手は届かなくって…


いつの間にか出口すら見失い、暗闇の中漂うだけになっちゃった…。




『私は…』

由樹が話し始めた所で重なるように毅が話し始めた。


『俺、由樹と付き合う事にしたんだ。だから、あの日一緒に謝りに来た。本当に、本当に謝りたかったんだ!!』


『自分が幸せになったから、人の事なんて何も考えない。謝りたかった??私に謝り、自己満足の世界へと浸りたかった??』


私はヘリクツだ…。
よくもスラスラとこんな言葉が言えるものだと、自分で自分に驚いてしまう。

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