薬指~未来への誓い~
『他に言う事は…??』

何を言われても、きっと私はヘリクツで返すくせに…。



『黙ってるなら、帰って。目障りなんだけど!!』


目障りなのは本当。

毅や由樹がいても、
私の心はなにも変わらないし…

由樹を一生懸命かばう毅を見て、

腹が立ちはじめた。


苛立ちや、憎しみと同じくらい


──羨ましくて…。



私が真吾への失った想いを目の当たりにされてるようで


──虚しくて…。



『私っ!!どうしたらいい??倖知さんにどうしたら償えますか!?』

顔を上げた由樹は涙を流しながら私に必死に訴えかけた。



『じゃあ……私の子供の代わりに、死んで??』

『―――ッ!!!』

『帰ってっ!!!!もう帰って!!!!!』




これ以上話していたら、私は今以上におかしくなってしまう。
乱れた醜い心だけが、這い上がってきてしまう。


これ以上、私が醜くなる前に帰って!!!



私は勢いよく玄関を開け、帰宅を促した。


毅と由樹は、黙っていた真吾に一礼をして帰って行った。



バンッ!!!



由樹が置いていった花束をゴミ箱に叩きつけ…



散り落ちたのは
花びらと………

私の涙。
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