薬指~未来への誓い~
駅に着いて切符を買ったから、改札口でバイバイしようと思ってたのに…


『あのさ…』

『なに??』

不意に智哉が話しかけてきた。


『しつこいかもしれないけど…、俺マジなんだけど!』

『…気持ちは嬉しいけど、だからぁ~私は結婚して……』

私は結婚してるんだってば!!って言おうと思ったのに…


『俺が笑わせてやる!!』

『えっ!?!?』

『倖知、言ってただろ??何も考えたくない時や笑うのがツラい時は走るんだって。俺には倖知に何があったかなんて知らないけど、そんな想いで怖い顔して走るくらいなら、俺が側にいるから。1人で走らせないから!!』



何も言えなかった……

何も…………。



『あ!!泣かないで!!勝手な事言って困らせてゴメン!!!本当にごめんなさい!!頼むから~、泣かないで~』




無意識に落ちる涙を流す私の泣き顔に、智哉は焦っていたけど


『違う…、違うの』

そう、違うんだよ。

迷惑で、悲しくて、泣けたんじゃないもん。


“走らせない”

この言葉が、嬉しかったの…。





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