薬指~未来への誓い~
……こうして、私は智哉と付き合うようになった。




もちろん、この関係が良いことだとは思わない。


私を見つめてくれている真吾に対して罪悪感がないわけじゃない。


自分を正当化するわけでもない。





けど、智哉の優しさに縋らずにはいられなかった…。



私の暗闇の理由を何も聞かなかった智哉…
何も知らない智哉…

智哉と一緒にいても、余計なことなど何も考えなくて済む。



私にとっては、現実逃避だ。





ただ、泣ける場所が欲しかった…。



ただ、温もりが欲しかった…。




誰かの温もりの中に縋りつきたかった…。




暗闇に光は見えなくても、温かな風が吹いていてほしい…。





この考えはきっと、私が許せない“あの時”の由樹と同じなのだろう。




自己中で、人の気持ちを利用してるだけ…なのに。



縋りつきたかった…。

それでも、温かさに縋りつきたかった……。







――…これが私の

弱い心。


――…これが私の

醜い心。


そして…




これが私の




精一杯生きていく為の心。





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