薬指~未来への誓い~
帰りの電車に揺られているときにメールが届いた。

『真吾…』

メールの送信者は真吾。

[映画楽しんできた~??今日、早く帰れそうだから外食いかない?もしかして、もう作ったかな?]



外食…。
真吾と2人きりの外食なんて久しぶりだ…。


本当は、行きたくない。


だって、何を話せばいいのか分からなくて、2人の空間が気まずい。

家にいればテレビは付いてるし、テレビを観てるから無言…っていうのも不自然じゃないでしょう??

付き合ってる時には…どこに食べに行っても楽しくって私がずっと上機嫌に喋り続けてて、
真吾に『喋ってないではよ食べる為に口を動かせよな~!!』って呆れられちゃってたくらいのに…。

でも、そんな時は決まって個室の居酒屋とかで、呆れた真吾が『ほらっ』ってアーンして食べさせてくれるのが幸せで、わざとずっと喋り続けてたんだよ。




今は、そんな幸せだった時の面影すらない現実。



『楽しかった…な』


ポツリと呟いた。
胸がグッと苦しくなって、唇を噛み締めた…。


[いま帰り道。ゴハン、行く。]


たった2行の単語のみの返信。

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