薬指~未来への誓い~
ううん、違うな…。
自分の心に“ある”感情に、
じゃなくて………
自分の心に“ない”感情で、
私は智哉とこれ以上一緒にはいられないんだ。
この1年の、私の心のどこを探しても
智哉への“好き”という感情が見当たらないんだよ……。
ズルいのは自分でも分かってる…。
けど、そんな事言えない。
だから、これ以上私なんかに“好き”なんて言わないで…。
『大事にされてるのは分ってる…つもりなんだけど…』
『俺の事が倖知の中でいらなくなったって事??』
真吾との私の過去は智哉には何も話してはいない。
幾度か話そうとした事はあるけど、『話さなくてもいいよ。過去くらい誰にでもある』と、優しく抱きしめ続けてくれていた智哉に私は言葉を飲み込んでいた。
智哉が言うように、智哉の存在がいらなくなったわけじゃない。
でも、“いる・いらない”じゃないよね…。