薬指~未来への誓い~
自分でも驚くくらい、この状況下においても抵抗はしなかった。

というより、抵抗は出来なかった…。



だって、智哉が怒っているのは当たり前なんだもん…。

さんざん振り回して、甘やかしてもらって、ポイ捨てをする私に不満を感じない方がおかしいでしょう??




『…いいよ』


私の身体は力も入らず、合わせていた目をただ静かに閉じた。



こんな事で智哉に償えるなんて思ってない。

けど…私には瞳を閉じる事しか出来なかった。


智哉になら……
怖くない。






『………アホ』


智哉はフワッと私の身体の上に覆い被さって
そして、優しく抱きしめられた。



『と、智哉??』

『バカは死んでも治らんって言うけど、倖知のアホも絶対治らん…』


さっきの怖いくらい低い声じゃなく、いつもの優しい声。



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