薬指~未来への誓い~
自宅前へ智哉の車で送ってもらった。


けど、なかなか車から降りれない。


『…帰るね』


私が車から降りて、バイバイと手を振る行為は、智哉とのサヨナラを意味するんだ。


『あのさ、聞きたい事があるんだけどさ…』

なんだか聞きづらそうに話す智哉。


『なに?』

『オレ、倖知の事が好きだ。…倖知は??』

『…ぇ!?』

『あ、もちろん今じゃなくてさ!!この1年の中で…でいいんだけど……少しでも』


ドキッとした。
もちろん、ときめいた胸の高鳴りじゃなくて…、
1番隠していた図星を見透かされたようで。



『…好きだよ』


卑怯者と言ってください。

loveじゃなくlikeの好きは本当だけれど…

言えなかった……。



『そっか♪ありがとな♪』

ニコッと笑ってくれた智哉に…グッと胸が苦しくなった。



もしかしたら、私の本当の気持ちを智哉は分かっていたのかもしれない。

それでも、私のウソに付き合ってくれたのかもしれない。




智哉…ごめんなさい。

私のウソに、あなたのウソを重ねたこのウソに甘えさせて……最後の最後まで甘えてばかりだね、私。


逃げるように『じゃあね』と車から降りた。

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