薬指~未来への誓い~
『早く行きなってば(笑)』


動けない自分を隠して、さも余裕綽々のフリをして智哉に笑いかける。


『あのさ…』

『ん??』

『少しでも…俺………やっぱり…』

『…ぇ』

『っーて!!こんな未練たらしい男だから嫌われるんだってばな!!(笑)』



智哉はごまかすように笑ってドリンクホルダーに置いてあった缶コーヒーを飲み干した。



ガチャッ……



なぜこの時、再び助手席のドアをあけたのか…


理由を聞かれても、はっきりなんて答えれない。


ただの、突発心というか…衝動心というか…なんというか……



『智哉…』





『――!!!!』




キス を した




『バイバイ』




バタンッとドアを勢いよく閉めて、まるで逃げ出すように自宅への階段を駆け上る。


あっという間に

智哉の視界から私が…

私の視界から智哉が…

消えた。



『…ハァ……』


初めてのキスがこれかぁ~。

自分からしたくせに呆れてため息が出る…




初めてのキスは…
少しコーヒーの香りのした。


初めてのキスは…
サヨナラのキス。






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