薬指~未来への誓い~
『嬉しかったの…。真吾の子供かもしれないって―…』


『どうして真吾の子供じゃないって分かったの??』


由樹も真吾も、私に“真吾の子供じゃない”と言っていた。


『病院の検査でね、私は本当に妊娠初期だったの―…』


由樹が初めて病院へ行った時、内視鏡では赤ちゃんの袋さえ出来てはいなかった。


けど、尿検査等で妊娠してる事は間違いなく…。


まだ妊娠2ヶ月にも経たない頃だった。

病院の先生にも、“こんな初期に妊娠がよく分かったね”と驚かれたくらいだそう。



『私、真吾との最後なんて……』



由樹と真吾の肉体関係は…
妊娠する程の時期にはもう、とうになかった…。



『真吾との“最後”以降にも、生理来てたから分かってたのにね…、バカでしょ、私。。』


瞳に少し涙を溜めて苦笑いをした由樹に、何も言えなかった…。



『けど…どうしても、真吾が好きだったの…』


両手で顔を覆う。




由樹は真吾に、妊娠周期を偽って妊娠を告げた。



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