薬指~未来への誓い~
『一度きりの奇跡…だね』
ポツリと彩が呟いた。
『奇跡??』
『それも、偶然じゃなくて必然のね』
『よく分かんないよ…』
つわりの吐き気もあるし、検査薬は陽性反応だったけど…いまいち実感が湧かない。
嬉しくないワケじゃないんだよ?今だってすごいすごい嬉しくて嬉しくて仕方ない。
けど、喜び方が分からないし…喜んでいいのかもいまいち分からない……。
『ねぇ、彩??私、イイのかな?妊娠してても』
『は!?なに言ってんの??』
『だって…―』
私は…この妊娠が“初めて”じゃない。守れなかった子が…いる。。
守ってあげれなかった…私が守らなくちゃいけなかったのに……。
それに、浮気もした。肉体関係はなくとも、真吾を裏切っていた事に変わりはない。
醜いくらいの憎悪心と執着心で私はいろいろな事を犯してきた気がするんだもん……。。。
『こんな私が…喜んでてもいいのかなぁ??』
彩は『まったくっ』とため息ひとつついて、私のそばにきた。