薬指~未来への誓い~
『泣かないでよ?』
だって、お父さん黙っちゃったんだもん。
私まで泣いちゃうよ?
『泣かんっ』
ほら、また強がり。
扉を開けてくれるスタッフの方が、こんな父娘のやりとりを見て
クスッと笑ったのが見えて、私まで笑っちゃった。
そして…扉は開かれた。
深紅のカーペットがひかれた先には真吾が待っていて
お父さんの鼓動が、組んだ腕から伝わってきそうなくらい寄り添い一歩一歩、ゆっくりゆっくり、歩み寄る。
真吾の目の前に立ち、お父さんの腕を離した瞬間、涙ぐんだの気付かれちゃったかな?
お父さんと真吾は一礼を交わし、私は真吾の腕に手をかけた。
神の前に立ち、二人で誓う二人の未来。
薬指にはめたリングの刻印は…
『eternal love』
永遠の愛。