薬指~未来への誓い~
『さて…と。行こっか』
『そうだな…』
葵衣をチャイルドシートに乗せて、私たちは車を走らせる。
向かった先は…
自宅から車で20分ほど走った所にある白い外壁が目新しい新築のマンションの一室。
――…ピンポーン
『ハイハ~イ♪』
その部屋のドアを開けて快く迎えてくれたのは…彩。
『あやぁ~』
『さちぃ~』
玄関先で顔を合わせた瞬間にお互い半泣きで抱きしめあう。
まさに…他から見ればただのバカ同士。
『こんちわ』
部屋から男の子が笑顔で出てきた。
『やっぱりこうなる??』
玄関先で抱き合っている私たちに苦笑された。
『みたいだね』
つられて真吾も苦笑い。
彩と同じ部屋から出てきた男の子の名前は悠生(ユウキ)。
彩と5年付き合っている彼氏。
私と彩は、真吾と悠生クンなんて関係なくまだまだ2人の世界。
『あやぁ~』
『さちぃ~』
『悠生クンに彩をあげなたくないよぉ~!!でもでも嬉しいよぉ~』
『ありがとぉ~、さちぃ~』
私が妊娠検査薬を買ってきてもらった日の彩からの電話は私への報告電話だった。