薬指~未来への誓い~
『倖知(さち)のお父さんって、いつ家にいるかな?』




いつもの優しい真吾の声…。




『え?じゃあ…産んでもいいの?』


『結婚…しよか』





初めて真吾から聞いた“結婚”の二文字。





嬉しさと驚きで何も言えなかったよ。



『なんか言えよ~!…ホントはな~色々考えてたんだぞ!!倖知にプロポーズする時の事!!どう言おうとか、どこで言おうとか!!聞いてっか!?!?』


照れ隠しのようにめったにない饒舌でムキになって喋り続ける真吾に



嬉しくって、おかしくって




『うん…うん…分かったってば』


笑っちゃったよ。




その時、自然ととめどなく溢れ出すあたたかな幸せな涙を初めて流したんだ。





『倖知?泣いてるの?あ、ゴメン!!やっぱり電話で言う事じゃないよな!!頼むから~泣くなよ~』





大丈夫だよ。





真吾のプロポーズは




世界一幸せで暖かくて面白いプロポーズだったよ。





私にはいっぱいいっぱい溢れちゃいそうなくらい真吾の心は届いてたよ。





『真吾…ありがと。』


『おっ、おう』





本当に本当に…
ありがとう、真吾。




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