薬指~未来への誓い~
そのまま由樹は立ち去り、私たち二人きり。
『倖知…』
『さっ、触らないでっ!!!!』
私の手を掴もうとした真吾の手を勢いよく払いのけた。
体の震えが止まらない。
腕にずっと抱えていた両親へ感謝の気持ちを綴った手紙と、
お母さんの大好きなマーガレットの花束を机の上に再び置き、真吾の横から後ずさる。
涙も出ない。
声も出ない。
私の頭の中は真吾に対しての“恐怖”。
『倖知っ!!!!』
真吾は、後ずさる私の両腕をガシッと力強く掴み、いつもの真っ直ぐ力強い瞳で私の目を見つめていた。
『由樹の言った事はデタラメだから!!!由樹が妊娠した子はオレの子供じゃないんだ!!倖知、信じてくれ!!』
『何がホントで、何がデタラメかなんて…私には分かんないよ…』
信じる…?だれを?
真吾の力強い瞳も…声も…私の心には届かないよ。