薬指~未来への誓い~
『オレは、倖知とお腹にいる子供を守るって誓ったんだ!!由樹には後でデタラメだと謝らせるし、二度と近づくなって言うから!!』
『腕…痛いよ』
力強く掴まれた腕に痛みを感じた。
いっそのこと、もっと強い痛みで心の痛みもかき消してくれれば…いいのに。
『ゴメン…』
そう言って真吾は私の腕から手を放した。
この時離れたのは…
捕まれた腕なのか…
それとも
私たちの心なのかな…―――
『ご用意が整いました~』
向かい合い黙り続けていた私たちの元へ、会場内の両親へ感謝の気持ちを伝えるセッティングが整ったとスタッフの方が声をかけてきた。
『あの…もうちょっとだけ待ってもらってもいいですか?』
真吾がスタッフにそう伝える。
このまま私たちが両親の前へ行くなんて、真吾には思いもよらないんだろう。