薬指~未来への誓い~

『…大丈夫です。行きます』


真吾の静止を払いのけるように私が口を挟む。




『体調がすぐれませんか?大丈夫ですか?良かったら少しでも休憩を挟みましょうか??』



もちろん、私の妊娠はスタッフの方々も知ってるため、
真吾の言葉を私が体調不良になってきたと捉え心配して言葉をかけてくれた。



『倖知、ちょっと待っ…』

『真吾?私は大丈夫。お父さんやお母さん待ってるよ?行こう』


真吾の静止は決して受け入れない。




ここで止まってしまったら…
二度と歩き出せない気がしたから…──





『お願いします』



私はニコッと笑みを浮かべながらスタッフの方に一礼をして、机の上にある両親への手紙と花束を再び手に取る。



『じゃあ、途中でも大丈夫なんで、お体に無理はしないでお声をかけてくださいね』

『ありがとうございます』



立ち尽くしてた真吾も伏し目がちに花束を手にとり、私の横に立ち入場の時を待つ。



まだ私に言いたげだったけど、私はもう真吾からは何も聞きたいとは思わない。


まるで逃げるように自分たちの披露宴を続ける。




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