薬指~未来への誓い~
決別
嘔吐を続ける中、真吾が走ってきた。
『大丈夫かっ!?』
『…ッ、ここ、女子トイレなんだけど!?』
『あっ……!!!ご、ごめんなさいぃ!!!』
クスッと笑っちゃった。
確かに、真吾はいつも私を心配してくれて、笑顔をくれる。
けど…、もうそれだけじゃ、一緒にいられないよ……。
『倖知!?倖知!?背中擦ろうか?…あっ、でもオレ入れないや~。倖知大丈夫かぁ!?!?』
トイレの入り口から真吾は大声で言ってくれるんだけど…
『恥ずかしいから止めて…ゝ』
あっ…お母さんの声がする…。
『倖知?大丈夫?』
『お母さん…』
『ドレスでお腹絞めちゃってた?』
…違うんよ、お母さん。ドレスはちゃんとマタニティー用ので、お腹に負担はなかったもん。
きっと…私の弱さにお腹の中で怒って泣いてるんだ―――
『もう止まったから、大丈夫』
お母さん?
私は真吾と別れたい。
なんて言ったら、怒るかな?呆れるかな?
それとも…泣かしちゃうかな?
けど…今の私には真吾との未来が見えないんだ………