薬指~未来への誓い~

まだ引っ越してきた時の段ボールが積まれている静まり返った狭い部屋に帰って来た私たちに待っていたのは



これから積み重ねてゆくと信じてやまなかった幸せな時間ではなく…




挙式後なんて思えもしない、冷えきり殺伐とした時間だった。




『暑いね…』

真吾が冷房を付けると、ブィィン…とエアコンの起動した音だけが部屋に響く。




私は無言のまま真吾と選んだ白いソファーに腰かけた。




何から話せばいいのか……

どう話せばいいのか……

ずっと考えながら。

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